「春告げ花」咲く韓国へ(韓国世界遺産紀行)
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私たちが行った韓国は、花の韓国だった。
先ず私たちを迎えたのは、至る所に咲くレンギョウの鮮やかな黄金色だった。草木に造詣のないわれわれには定かには分からぬが、サンシュ(サンシュユ)の木の花の黄色も混じっていたようにも思うが、東西南北に移動してもほぼ全国隈無くそれは私たちを迎えてくれた。
私たちの訪れた時期の韓国の色は、この黄金色と言って良いだろう。韓国の国民はおそらくはこのレンギョウの黄金色を大いに好んでいるのだろう。道々のあちこちにそれを見ることが出来た。説明を受けたわけではないが、われわれの桜のように春告げの色なのではないだろうか。
それから白いモクレンの花。これもあちらこちらで目にした。特に水原の城郭のそばに植えられたモクレンの花越しの城門は美しかった。
レンギョウほどの華やかさはないが、山ツツジも可憐に密やかに彩りを添えていた。山ツツジと言うが、日本でのそれとは違い、どちらかと言えば日本のツツジに近い。花の大きさは少し小ぶり。
そして・・・何と言っても見事だったのは、桜だった。慶州の街道を何キロにもわたって埋め尽くす桜並木は、日本を離れるときに既に東京では満開の時期を過ぎていたわけだが、ここ韓国でも例年になく春が早いと言うことで、一足早い満開の時期を迎えていた。卒業式などで花見の時期を逸してしまったわれわれにとって、これはまたとない花見のプレゼントになった。
しかしながらその慶州の桜にも、日本と韓国の歴史に翻弄された姿を見ることにもなった。慶州の桜は一様に皆若木なのだ。韓国にも桜を含めた花を愛でる習慣はもちろん昔から存在しただろう。慶州にも現在ほどであったかは定かではないが、多くの桜の木々がもちろん昔から存在していたという。しかしある時期、それらは殆ど切り倒されてしまったと言うことだ。その理由は、「日本を象徴するものだから」。再び桜が慶州の地に植えられ始めたのはだからここ最近のことだと言うことだ。もちろんこれだけの理由ではないだろうが、咲き誇る花の中にも歴史が存在することを感じさせられた次第だ。
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