5月14日(木) 入院第2日目。CT検査


 朝から頭が痛くて何をする気にもならない。新聞も配達されたけど、さっと読んだだけ。本もなかなか進まない。その中で唯一楽しみなのが、昨日則が教えてくれたスケジュールの書き込み。何かことがある度に起動させて記入している。[写真は順さんが朝自分でとった自分の顔]

 10時の予定のCTがなかなか始まらないのでベッドの中でドデッとしているときに、明日の手術の時の看護婦という人が来た。(名前を聞いたのだがすぐに忘れてしまう。)

 今夜、明日のために腕にシールを貼る。これは注射しやすいように血管を広げておくものだそうだ。そして、明日、まず肩に注射をする。これをするとボーっとしてくる。その後口にマスクをして麻酔をかける。すぐに意識がなくなって、その間に全て終わる。手術室から出るときに声をかける。何の心配もいらない。

 というような説明をされた。不安はあるが心配はしていない。しても仕方ないし。もうまな板の上の鯉状態。勝手にしてくれ。今朝も8時半にA医師が回診に来た。昨日は泊まりだったのだろうか。それにしても、まめに病室を訪れてくる先生だ。主治医とは名ばかりで滅多に訪れないというような話はよく聞くが、こんな先生だから、安心して鯉になれる。

 やっと11時にCTの検査が始まった。昨日の隣の部屋だが、検査士も看護婦も違う人だった。前に、造影剤を入れる看護婦が下手で、漏れて痛くて痛くて・・・というような話を耳にしていたので、この人かな、と大いに心配したが、「血管が見つからないわねえ。」といいながら、右手左手をくまなく調べたあげくエイッとやったがうまい。これは昨日のとは違ってどろどろした液だから針も太いのよ、と言っていたのに、全くそれを感じさせない。いつ入ったのか、いつ抜いたのか分からなかった。うまい人はうまいのだと改めて感心した。勿論液が漏れたりはしていない。

 CTというのは仰向けに寝て長さ50cmくらいの白い筒の中を通り抜ける。その際、「はい、息を吸って。止めて。」と言うあのやり方で通過する。胸の部分だけの撮影だった。10分くらいで終わった。

 3時半に看護婦が来て手術の日程、準備するものを教えてくれた。

 まず、手術は明日の午後の1番目(ちなみに午後は3件あるそうだ。昨日も午前中に少なくとも2件はあったのだからすさまじい量だ。こんなに多いのだもの、入院期間は短いはずだ。私の場合も5〜7日というのが最初の所見だ。)で、1:30から。1番目でよかった。疲れてないだろうから。その他細かいことを説明された。初めに肩にする注射は痛いんですよ、ということ、これは何度か聞かされたので覚悟している。意外だったのは、食事がその日の夕食からということだ。半分食べられたら点滴を外すという。頑張らねば。それと、トイレに行きたくなったら看護婦を呼んでいってくださいとのこと。目が覚めたらもう動けということなんだなあ。それから、則が心配していた泊まり込みは無用とのこと。ただし、手術についての説明は、3件が終わってからということになるので、それまで待つことになる。

 夕食の後、思ったより早くA医師が来る。もう一度患部を確かめた後、結局娘結石はよく分からないので一緒にとるよ、とのこと。だからちょっと大きくなるんだって。4分の1くらいなくなっちゃうのかなあ。順番について確認すると、その日になってみないと分からないということで、則にも午前中から来てよ、ということになった。ただ待ってるだけじゃ退屈だから夕方でいいよって私は言っていたのに。

 その後入浴を済ませた。則はザンバラ髪を気にしているらしいが、私は結構気に入っている。

 9時の消灯になるのに看護婦が来ない。シールはどうなってるのかな、電話しようか、と思っているうちに声が聞こえた。左手首のところに貼った。これは?と聞くと、痛くないように表面麻酔のようなものです、との答え。ふーん、いろいろあるもんだ、でもさっきの説明とちょっと違うな、とは思ったが、ま、どっちでもいいやと思ってそのままにする。ついでに胃薬と睡眠薬をくれた。(Zantac 180mgとUPJOHN 17を1錠ずつ)そんなものくれなくても、もう十分に眠いから大丈夫なのにとは思ったが、2度も飲んでくださいねと言われたので素直に従うことにした。

[受け取った説明書の一部]




則裕の記録

 朝早めに出勤する。自分の仕事は人のいないうちにある程度こなしておかないと、後で何が起こるか分からないから。仕事もやや軌道に乗ってきた。まぁ今日はまた問題が一つ起こったが、それは火曜日に検討することにして、丁度都庁に行く用事が出来たので、直帰にさせてもらって、病院に向かう。

 O駅の駅ビルで弁当を買い、O病院への道すがらの肉屋でコロッケ(1ヶ50円)を2個買って病院へ。昨日より30分くらい早く着いた。

 着いてから直ぐに、手術の注意書きを順さんから見せられた。内容は順さんが書いているとおり。

 食事が来たので、食べた。今日も結構な内容だ。食事の後、今日は長期戦になる覚悟で、ソファーをベットにして、この件を書いている。外は夕焼けの雲がきれいだ。

 順さんに今の気持ちを尋ねると、別に、まだ実感が湧かないと言うことだった。何か人ごとのようだとも言っている。

 遅くなると覚悟をしていたが、A医師が7時過ぎに病室を訪れる。触診した後、例の娘〜はMRIでもCTでも結局よく分からないから、全部いっぺんにとるという話をした。順さんの手術予定時間は13時30分となっていたので、これは手術の時間か用意の時間か訊ねようとしたところ、順番はそうなっているの?という返事。どうでもよいことなのだろう、おそらく。そして追加して、前の他の先生の手術が先に済めば、繰り上がることもあるし、救急病院だから急患があれば手術は遅くなることがあるという説明。つまり、乳ガンの手術はかくも日常的な手術なのらしい。そして、13時半に来たら手術が終わっていたなんてことになると困るから、午前中から来ててよ、というお話。順さんは友人の藤原さんの話を持ち出して、手術中は関係ないから、ゆっくり来いと言っていたので、のんびり構えていたが、こりゃぁ大変だ。明日のスケジュールを変えなければ。

 医者が帰った後、順さんは風呂に入った。明日のために、消毒薬が混ざった石鹸で体を洗うためだ。風呂場で見た順さんの髪はやはりザンバラ髪だった。

 家に帰って、別件もあったので、藤原さんにお礼と明日手術だという報告の電話をする。藤原さんは完全に、A医師の信奉者だ。A医師のことになると、長い長い話になる。結論は全く心配いらないと言うこと。私もそれには同意見だ。明日をまとう。