5月9日(土) 下社御柱里曳き1日目

 思いもかけずにまた御柱にくることが出来た。土曜日に入院と言われたときに、思わず「ああ、御柱行きたかった。」ともらした一言で、「いいよ。元気なうちに、楽しんでおいで。」とA医師に言われてすぐに飛びついてしまったのだ。則は遊びと体とどっちが大事なんだ、と言ったが、重ねてA医師が、「いいよそんなこと気にしなくて。そう何度もあることじゃないんだから。行って来なさいよ。」と言ってくれたのでそうすることに決めた。

 朝、5時半には起きて準備をし、いそいそと出かけた。夕べ降った雨がまだ完全にあげきらず、霧雨のようなものがぱらついていたが、回復するという天気予報に期待をかけて傘も持たずに出発。

 現地はもうすっかり雨とは無縁のいい天気。今回も暑くなった。

 春宮で木落としを2つと建御柱を1つ見た。木落としは、ミニと言われるだけのことはあってあまりたいした迫力はなかった。が、やはりかなり急な坂を落とすので注意は必要だ。その注意を警備本部という警察の係員がマイクでがなり立てるのだが、「担当者は氏子を排除しなさい。」と言う件に至ってはなんと傲慢なと権力的で不愉快な感じがした。が、多分どこからか苦情が来たのだろうか、だんだんと丁寧な口調に代わっていったのがおかしかった。

 今回はあまりいい場所がとれなかったからかもしれないが、建御柱もあまり感激はなかった。が、建ち終わってみんなが引き上げた後、何人かの人がせっせと後始末をしているのがおもしろかった。誰も見ていないのだけれど、本当に完成させているのはこの人たちなんだなと、いたく感激してずっとそちらばかり見ていた。

 合間に、国道へ出て、長持ちをいくつか見た。これはこの下社の特色で結構おもしろい。衣装もそうだし、足の運びもそうだし、何より若い人たちが沢山参加しているのが興味深かった。堂々と茶髪にしていられるからかな。

 今日はあまり体のことは気にならなかった。昨日でけじめを付けたせいかもしれない。あきらめがついたせいかもしれない。十分に御柱を楽しんだ。則は、今日も優しく、「大丈夫か?」と何時も振り返って気にしていてくれた。だから、自分でも楽しまなくちゃ、と思っていた気持ちが十分に満足させたのだろう。


則裕の記録

 下諏訪停車の朝一番の特急はとれず、2番目の7時30分の特急で下諏訪へ。下諏訪駅から直ちに春宮へ向かう。ミニ木落とし(御柱を崖の上から落とす)を最初見た。何だか分からない間に落ちてしまい、 不満だった。

 木落としを1本見てから、秋宮に行きお参りをした。お守りは上社と同じだったので買わなかった。

 再び春宮に戻り、春宮一之御柱の建御柱を見学。私は順さんと離れた場所で見学した。図々しく、氏子の人達に混じって正面の位置から見学した。

 その後順さんを呼んで、ミニ木落としを結構良い位置から見学。2本見たが、特に二本目は落ちるところも完璧に見えた。しかし順さんは、(本当の)木落としを見ているので、あまり感激した様子はなかった。実際そう彼女も書いているとおり。

 下諏訪から、ホテルのある茅野へ戻り、就寝。