4月25日(土) 雨の土曜日、右乳が痛い


 久しぶりの休日。4月に入ってから初めてのんびりと過ごせる1日だ。しかもそれが今日、明日と2日間も続く。そこで、この連休は家の大掃除、と決めていたのだが・・・

 朝の目覚めはいつも通り。ゴミを出して、朝食を済ませ、ちょっと疲れたとベッドに横になったら、なんと次の目覚めは12時ちょうど。しかも頭ががんがん痛んで起きあがる気力が出ない。だらっとそのままベッドの中。

 その間、則は、せっせとインターネットで資料を集めていて、既に膨大な量となっていた。こんなに集まるなんて、インターネットというのはホントにすごいものだと改めて感激。他に、昨日K病院で買ったK先生の2冊の本を読みあさった。こういう本を書いたり啓蒙活動をしている人が、あんなに気さくに、突然のたった1本の電話で診察してくれるということに、今更ながら驚き、感謝の念を強くする。(が、紹介者は無しということなので、初診料は3650円也。)

 その本を読み進んでいくうちに、これはもう全摘出の手術など受けなくて良かったという思いを強くした。全摘出の人の写真を見ると目を背けたくなるようなものばかりだ。しかも後遺症もひどいらしい。更に、今や全摘出の方が世界的に見て奇異な手術法だということが分かる。こんな事を、さもそれしかないような言い方をする医師に不信感をいだくのも当然という気がする。十分に説明をされないままの手術、そういう悲劇がいくつもの例として載っていた。そういえば、父の時も、手術の後病室の戻ってきた父が、「まさか自分でおしっこが出来なくなっていようとは思わなかった。」(父は膀胱ガンで、何というのかお腹に穴をあけて袋をつける生活になってしまっていた。)と話していたのを思い出す。そんなに大事なことを患者に説明しないで進めてしまう医師が日本にはとても多いのだそうだ。

 その意味で、今回の私は幸運だったとしかいいようがない。藤原さんの存在、則の存在。藤原さんからは早速乳ガンに関する本が送られてきたりして、支えてくれる人が回りにたくさんいるというのは心強いものだ。

 バッファリンを飲んで少し頭が楽になると、休みの取り方が気になった。放射線をかけるとすると、毎日の通院。しかもイライラしたり疲労感が強かったりという症状があるとのこと。そういう状態で子どもの前には出たくない。子どもが私に関する新聞を作ってくれた中で、本川先生はどんな人かというアンケートの結果、優しいとか明るい、楽しい、そして元気というのが上位を占めていたのだから、そういう状態に戻ってから子どもの前に帰りたいと思う。そうすると1学期は無理しない方がいいかと思う。その為にはどんな休暇の取り方が良いのか、これから則にも色々と調べてもらって、医師にも相談をして最良の方法を見いだしたい。



則裕の記録

 昨日飲み過ぎたので、一日中ごろごろしていた。

 それから乳ガン関連のサイトから、「キャンサーネットジャパン」(http://www.iijnet.or.jp/cancer/)を見つけ、そこにある、「米国国立衛生研究所(NationalInstitute of Helth,NIH)が、医師およびガンの患者さんとその家族向けに作成したデーターベース」の乳ガン関連部分を全て印刷した。だいぶ厚くなった。日本の国立ガンセンターのページ(http://www.ncc.go.jp/0sj/hindexj.html)もあるが、問題にならない。米国の訳を提供している人々に感謝だが、またそれは医療の情報公開の遅をれも無言の中に語っている。

 彼女の父の話を順さんは書いているが、それは知らなかった。私の父も摘出手術を受けたが、説明があったかどうかの記憶が曖昧だ。母は立て替える前の都立O病院で、末期癌ということもあって手術を行うこともできなかったが、この病院での待遇には感謝こそすれ不満はなかった。ただ子どもとして残念なのは、ホームドクターともいうべき町医者が、全くその症状に気がつかなかったことだ。その時の都立O病院の看護婦長は、この患者さんを外来で見てああ末期ガン患者なのだなぁと一目で分かった、ということだ。私の姉はこの話を聞いて、町医者を訴えるとまで息巻いた。私も感情的には全く同様だった。今もそこの医院の場所の前は今でも腹が立つのでなるべく避けて通っている。そこの医者母が入院前、私に生活上の指示までえらそうにしていた分、気分が悪い。

 話が横道にそれたが、あるデータではもはや4割が温存手術になっているとのことだ。もっともこの方法には1/4法がかなりの部分を占めると思われるので、くりぬきの純粋な意味での温存法は未だそう多くを占めてはいないのだろう。イディアフォーとK医師の共著の数字は3割だったわけで、何れにせよ、確実に数値は上がってきている。つまり、5割を越える日は近い。つまり温存法は現時点でも既にかなり普通の術式になっているという判断をしても良さそうだ。

 ところで、本人は上記のように書いてはいるが、順さんの手術後の計画は微妙なものがある。手術そのものは前後の入院期間を入れてもおそらく10日前後で終わるのだろう。それからの治療がどう生活に影響するかだ。放射線療法はある本によれば、『標準的な照射法は、一回にニグレイという線量を乳房全体に照射し、週五回、五週間にわたって、計二五回、五〇グレイ程度を照射するものです。』*1とある。勿論この間で仕事に就けないこともないが、問題はこの間朝の時間帯だけでも抜けられるかというと、小学校の教師にはそれは出来ない。だからこの間は休まざるを得ないだろう。更に、抗ガン剤治療が行われる。同様に引用すれば、『抗ガン剤治療は、二種類以上の抗ガン剤を組み合わせるのが標準的で、これを多剤併用療法といいます。そして多剤併用療法は原則として、点滴を含む静脈注射のかたちで行われます。ただ、たとえばエンドキサン(シクロフォスファミド)という薬は、飲み薬のかたちで使われることもありますが、最近では注射にすることが多いようです。多剤併用療法は三−四週問を一つの単位として行われること が多く、この単位をサイクル、あるいはクールと呼びます。』*2とある。この本によれば、実際には3クールくらいがパフォーマンスに優れたやり方と書いてある(とわたしは思う)が、1回目は前述の放射線照射時と並行してやるとして、2回目は夏期休業中を選べるのだろうか?3週間としても3回目をとれる余裕が学校にあるのか。そのあたりの治療計画を十分に認識した上で、診断書の(日数)作成を依頼しないと、学校も順さん自身もそして子どもが最大不幸になる。生き死にの領域になるのなら別だが、その後の生活も考慮した判断が要求される。半年間くらい休めばそれがベストなのだと思うけれども、そうしたことが許容されるかどうか微妙なのが、今の学校現場、とりわけ小学校高学年の状況なのである。(うまく表現することが難しいが、中学校の状況は既に小学校高学年、いや時によっては低学年にまで及んでいるという事実を言いたいのである。勿論彼女の学級の今がそうした状態に置かれているわけではないことは言うまでもない。)

 術式については温存療法にすることはもはや決定といっても良いだろう。もちろん、それが可能なのは全体の9割ということだから、それを越える患部の状態であれば別であるが。もはやS病院の医師にどう断るかが気がかりなだけである。


 *1,*2とも わたしが決める乳癌治療 イディアフォー&K誠 '98,Dec,12th 三天書房