秩父巡礼 その2  3月29日(土)  曇り 

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 秩父34ヶ寺の札所巡りはこれで2度目。前回は1番から22番までを巡った。それは順が職場復帰のための体力作りの一環として行ったもの。

 朝からどんよりした曇り空。昨日よりも4度くらい低くなるということだったが、歩くので暑くなるだろうと薄着で出かけた。が、寒くて寒くてふるえながらの出発であった。
 6時ころ野方発の電車に乗って、田無、所沢、飯能と乗り換えて秩父へ着いたのが8時頃。それから8時25分発のバスに乗って、最初の音楽寺へ向かい、到着したのがもう9時に近かった。
 バス停の横には梅園があり、思わぬ梅見ができた。紅梅に白梅が入り交じって今が見頃とばかり咲いていてきれいだった。
<第23番 松風山 音楽寺>
 梵鐘の音色がきれいということで、聞いてみたい気もしたが、黙って突くわけにも行かず残念ながら聞き逃した。また、ここには「秩父事件」の時の「秩父困民党無名戦士の墓」があるとのことだったが、見過ごした。寒いこともあり、どうもまだ頭がボーッとしているようだ。
 そこから坂を下って荒川沿いに延々と歩くこと約1時間。途中に蕗の薹がたくさん顔を出していたりして始めは楽しめたが、やがて黙々と下を向いて歩くだけになった。このころになるとやっと気温も上がってきて汗をかくようになった。
<第24番 光智山 法泉寺>
 やっと突いた24番。が、ホッとすることもできない。上を見ると116段の階段が待ち受けていたのだ。手すりを掴まりながら、やっとやっとたどり着いた。ここの上り口には手作り豆腐の店があったが、まだ準備中だった。お参りを済ませてから、また黙々と行進。歩きながら解説本に目を通すと、この寺には「廻り念仏」というのがあって、そのときの大きな数珠が本堂の横にかかってあるというのが書いてあった。前日の下調べで、確かにその文を目にして、是非と思っていたのに、これも忘れた。どうもまだ頭がボーッとしている。
<第25番 岩谷山 久昌寺>
 歩くこと約1時間。どうも巡礼道を歩くと遠回りになるようだと思って、今回は自動車道を歩いてきた。ただ、歩道がしっかりとつけられていない上に、車の量も結構多いので、注意しないと危険。 やっとたどり着いた25番は鬼女の伝説のあるお寺。今度こそは見逃すまいと心して門を入っていくと、やや小高いところに観音堂があって、そこに大きな鬼女伝説の額が掲げられていた。また少し進むと大きな弁天池に本堂が映って景色的にはきれいだった。猫がたくさんいた。
 またここには、秩父霊場を創ったとされる性空上人が冥土から持ち帰ったと言われる石の手判がある。

 そこから、順番を逆にして29番をめざすこととなった。というのも、歩いていく我々にとっては、道順というのがコースを決める大事な要素になるからだ。しかし、逆に行くとなると案内板もないので、不安を抱えながら地図を頼りに歩いていくことのなる。
 しばらく道を下っていくと、川に出た。橋を渡ることになっているのだが探してもそれらしいものは見つからない。よく見ると、とびとびにコンクリートの固まりのような物がある。ちょうど向かい側から、そこを人が渡ってきたので、それが橋に代わる物と理解した。実際に渡ってみると、結構一つ一つが離れていること、下の流れが急なことなどがあって、怖かった。順などは号令をかけながら、やっと渡ったという感じだった。
 そこからまたちゃんとした道に出るために線路の下をくぐろうと歩を進めていく途中、カタクリのちょっとした群落に出会った。田沢湖以来だが、この花は大きくて見応えがある。しばし写真タイム。それからトンネルをくぐって人家の近くへ出ると遠くから電車の音。先を行っていた則も戻ってきてまた写真タイム。たいして見栄えのする電車でもないのだが、どうも体がすぐに反応する。
<第29番 笹戸山 長泉院>
 それから複雑に入り組んだ道を歩いていくと、迷うことなく29番に到着。則の読図力はたいしたものだ。入り口には大きな桜の木があった。満開になったらさぞや見事だろうと想像するに難くないほどの見事な枝振りだった。参道を歩いていくと、則が足を止めてじっと見ていたのは、何と鳥が花を食べている。コブシだろうか。まだ固いつぼみなのだが、それをつついているように見えた。本堂へ着くと修理中で青い覆いで覆われていて残念。でも、ここは孟宗竹林で囲まれており、また庭の手入れもよくされているので落ち着いた雰囲気は失われていなかった。
 ここの本堂には、葛飾北斎の作と言われる「桜花の図」があるというのでこれは忘れずに写した。また、龍女の額もゲット。
 次は28番をめざしてまたひたすら歩く。途中浦山ダムを見ながら則の言うところのショーカットという車道を上って行った。これが結構急な舗装道。それも途中から下りになってやっと一息。ここは桜並木になっているので、もう少しすると人であふれかえるのだろう。と、と何か動く物と遭遇。目をこらしてよく見るとどうも猿のようだ。近づいてみると、目がバッチリと合ってしまった。ドキッとするとあちらが逃げていってしまった。どうもこの辺のは人に慣れていなくて、日光などとは違って餌を要求したり襲ったりはしないようだ。その後も何匹かみかけたが、皆そのようだった。
 しばらく行くと崖の所にお堂が見えてきた。が、近づく手段がないので、大回りしてやっと道を見つけた。目の前にある長い階段ももうあまり気にならなくなっていた。約30分で到着。
<第28番 岩龍山 橋立堂>
 ここは鍾乳洞と抱き合わせになっているような所。でも入場料は別。寺自体は、そそりたつ崖に沿うようになっていておもしろみがあった。崖に仏様でも彫ってあればまた一段と観光名所になったろうに。ここは秩父では唯一の馬頭観音を祀ってあるので、馬の置物があった。
 そこで昼食をとった。天ぷらうどん700円也。モロコシまんじゅうも購入。
 途中で浦山民芸資料館(?)に立ち寄る。ダムを造った見返りらしい。あまり広くない所に歴史やこの地域の産業などが紹介されている。
<第27番 竜河山 大淵寺>
 そこから15分ほど歩くと27番へ着く。線路沿いに行くとカメラを構えている人たちが何人もいた。SLが走るのでそれをねらっているらしい。まだ時間がありそうなので、我々は先へ進んだ。次の踏切を横切って行くと、すぐ目の前にあった。
 お詣りをすませると、「カタクリ群落地」という看板が目に飛び込んできた。先ほどのこともあるので大いに期待して行ってみると、まだまだその時期ではないらしくわずかに3輪のみであった。同じ秩父でもこんなに咲く時期が違うのが不思議な感じだ。ついでといっては何だが、先の大戦でのフィリピン戦死者の慰霊碑があったのでお参りした。
 則はここで納経所で書いてもらっている間にあめ玉2ヶをもらう。
<第26番 万松山 円融寺>
 26番もここから15分ほどの所にある。しばらく人家の中を通って、巡礼道に入る。山の中の小道でいかにも古道という感じだった。寺は今までになく横に長い寺だった。堂内には紫式部などの額があるというが、撮影禁止になっていたので、写真はない。
 奥の院は見上げるような断崖に立てられており、ここから離れたところにあるのでパス。また、電車の時刻が迫っているというので、御朱印だけもらって急いで駅へ向かった。
 今日の最後は30番。ここは今のところよりも遠いところにあるので、電車で行くことにしたのだ。ちょうどよい時間に電車が来たので飛び乗るように乗った。しばらく行くと、ちょうどSLが走ってくるのを待ち合わせるというので、ラッキーとばかりにまた写真タイム。先ほどあんなにたくさんの人が時間をかけて待ちかまえていたSLを、我々は通過待ちの時間で見ることができる。1日1本だそうなので、こんなにラッキーなことはない思い。
<第30番 瑞龍山 法雲寺>
 それから白久(しろく)駅で下車。白久駅前かまっすぐ坂道を上って行く。道は一本道わかりやすいが、下りはないので、先を急ぐ身には少しきつい。15分ほど行くとやっと到着。もう足はがたがた。階段は則に手を引かれてやっと上りきった。少し雪が残っていたが、きっと雪だるまを作った残骸なのだろうと思う。楊貴妃に関連のある寺らしいが、帰りの電車の時刻もあるので、急いで戻る。
 これで終わりだと思うとさすがにホッとする。
 電車を待っていると、またカメラを抱えた人が3人ほど下りてきた。また、何か電車が通るらしい。話を聞いていると、我々の乗る池袋までの直通電車が、桜の記念号らしい。ということで、またそれに便乗して写真撮影。
 この電車も所沢まで直通でいけるのでラッキー。なので、ゆったり座って帰ることができた。

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